シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ああ、だったら。
それでもあたしに"結婚"を教えてくれないというのなら。
あたし、玲くんの結婚式に突然呼ばれて、
"実はこの女性と結婚するんだ"
そう、にっこり微笑まれて終わられたりするの?
あたしの知らないウェディングドレス姿の美女を、
――芹霞、これが僕のお嫁さんだよ? 仲良くしてね?
そう、にこやかに紹介されるの?
嫌だよ、玲くん。
何で結婚なんてするの?
何であたしと"お試し"するの?
結婚するなら"お試し"なんて意味ないじゃない。
本気で玲くんのこと考えろっていわれたって、意味ないじゃない。
玲くんのこと理解しようとしたって、意味ないじゃない。
「僕、池袋に行きたいんだ。スイーツのお店も近くにあるしね」
綺麗な微笑みからは、"結婚"の二文字は窺えない。
言ってもらえないことが悲しくて仕方がない。
玲くんは、本当の"彼氏"にして欲しいって言ったのに。
あたし本気になったって…玲くん結婚しちゃうなら。
そんな大事なこと、あたしに言う気もないのなら。
あたし…玲くんにとって思い出にされちゃうだけじゃない。
ああ、思い出にしたいがために、"お試し"したいなんて言い出してるのかな。
玲くんは…結婚する気なんだ。
ずん、と落ち込んだ。
「芹霞?」
あたしは――
玲くんを祝福できない。
ソレハナゼ?