シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「芹霞――…
櫂を…
忘れてよ」
僕は芹霞を抱きしめながら呟いた。
そう言わないといけない程、恋心だけが募って。
もし芹霞の夢が幸せだというのなら。
今在る僕だって幸せになりたかった。
「櫂は…存在していない」
そして僕は罪に塗れていく。
罪悪感を募らせ、僕の心は黒く染まっていく。
「櫂は…いない男…だ」
どこまでも自分勝手な、愚かな罪に塗れていく。
「君が愛したのは…僕だよ」
嗚咽交じりの僕の声は、櫂への呪言となる。
僕は櫂が好きだ。
櫂を助けたい。
だけど。
「君が愛して仕方が無いのは…
――紫堂…玲だ」
僕は泣きながら、芹霞の身体を抱きしめた。
強く、強く――。
自分の虚しさを掻き消すかのように。