シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「ナイトパレードもかなり金をかけた派手な装飾だ」


――ねえ、久遠。ネズミーランドみたいな、夜間限定のパレードとかないの? ピカピカ電気が光って、音楽に乗せて…キャラクターが踊るの!!!


芹霞の言葉を思い出す度、頭が痛くなってくる。


面倒臭がりでやる気なくいつもだらだらしているくせに、どうして芹霞の言葉には即反応して、そんなに行動的になるんだ。


大体電気料…維持費だけでどれくらいかかるんだよ…。


「昼間太陽光を蓄電し、夜それを放出しているから…大した電気代はかかっていない。夜のデートに恋人達が、夕刻から詰めかけている。

あ、キャラクター販売も始めた」


キャラクターを勝手に決めて…販売!!?


勝手に…

本当に勝手に…。


蓮は、棚から一枚の紙を取出し、俺達に見せた。


「これだ。"クラウン王子"。

私達も風船に印刷して配るようにしてる」


どうみてもこれは…



「"ティアラ姫"のパクリじゃないか!!」



遠坂が吼えた。



「星冠(ティアラ)が王冠(クラウン)に変わって、マント羽織ってるだけのぶちゃいくワンコッッ!! こんなのが"約束の地(カナン)"のキャラクターかよッッ!!? こんなのがナイトパレードで踊るのか!!? 何とか言ってくれよ、紫堂。なあ紫堂ッッ!!!」


遠坂が涙目で俺の腕をゆさゆさと揺するけれど。


遠坂、俺…声がでないんだ。



気持ちは判る。

よくよく判る。


だがな、芹霞が喜ぶだろうと思えば…俺も安易に反対できない。


ああ、くそっ。


俺も久遠と同列か?


< 510 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop