シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「ナイトパレードもかなり金をかけた派手な装飾だ」
――ねえ、久遠。ネズミーランドみたいな、夜間限定のパレードとかないの? ピカピカ電気が光って、音楽に乗せて…キャラクターが踊るの!!!
芹霞の言葉を思い出す度、頭が痛くなってくる。
面倒臭がりでやる気なくいつもだらだらしているくせに、どうして芹霞の言葉には即反応して、そんなに行動的になるんだ。
大体電気料…維持費だけでどれくらいかかるんだよ…。
「昼間太陽光を蓄電し、夜それを放出しているから…大した電気代はかかっていない。夜のデートに恋人達が、夕刻から詰めかけている。
あ、キャラクター販売も始めた」
キャラクターを勝手に決めて…販売!!?
勝手に…
本当に勝手に…。
蓮は、棚から一枚の紙を取出し、俺達に見せた。
「これだ。"クラウン王子"。
私達も風船に印刷して配るようにしてる」
どうみてもこれは…
「"ティアラ姫"のパクリじゃないか!!」
遠坂が吼えた。
「星冠(ティアラ)が王冠(クラウン)に変わって、マント羽織ってるだけのぶちゃいくワンコッッ!! こんなのが"約束の地(カナン)"のキャラクターかよッッ!!? こんなのがナイトパレードで踊るのか!!? 何とか言ってくれよ、紫堂。なあ紫堂ッッ!!!」
遠坂が涙目で俺の腕をゆさゆさと揺するけれど。
遠坂、俺…声がでないんだ。
気持ちは判る。
よくよく判る。
だがな、芹霞が喜ぶだろうと思えば…俺も安易に反対できない。
ああ、くそっ。
俺も久遠と同列か?