シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「はあ……『流行とびつき隊』かあ」


遠坂が項垂れた。


「あれに紹介されれば、確かに"クラウン王子"も流行るかも知れないな。久遠も頭いいよ、絶対…。全国放映…広告宣伝費、無料だもんな」


『流行とびつき隊』という番組を、遠坂は知っているらしい。


「何てもの流行らすんだよ、久遠は…」


ぐすっと鼻を啜る音が聞こえてきた。


「紫堂。判るか、『流行とびつき隊』。

ほら…神崎がチェックしているテレビだぞ?

あのけったいな"ティアラ姫"を紹介して流行らせた悪魔の番組!! あれ以来…神崎は次期"ティアラ姫"のポストをチェックしている……」


ああ…俺も一度見せられたことがある。


日本各所に散った、美形芸能人がレポーターとなり、話題の流行物を紹介し…スタジオに集まっている奴らがクイズ形式で答えていくという…。


顔のいい俳優、モデル、歌手…兎に角毎回変わるレポーターだけでも話題だったはず…芹霞が言うには。



「生中継か…。もし紫堂がテレビに映ったら…神崎は見ていてくれるのかなあ…」



どくん。



芹霞。

電波の向こうに…芹霞が居るのか?


もし俺の姿が映ったら――。


お前は"約束の地(カナン)"に会いに来てくれるだろうか。

泣いて喜んでくれるだろうか。


心が――熱くなった。



どくん。



血が滾る。



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