シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「何でそんな言葉が出るッッ!!」
何だかそうした怒鳴り声が嬉しくて。
変わらず殴って貰えるのが嬉しい心地になって。
「何だかとってもいい気持ちだ…」
すると目の前の桜が、引き攣った顔をして総毛立っていた。
「寄るな、マゾな腐れ犬などいらないッッ!!!」
桜が…珍しく怯えた表情を出している。
「桜~」
「来るな」
「桜~」
「あっち行け!!」
「ペアルックの仲じゃんか~」
「別物だッッ!!」
それから俺は散々殴られ、蹴り飛ばされたけれど。
さんきゅ、桜。
見捨てないでくれてありがとう。
「しかし…あの蛆、何処に行ったんだろう?」
俺はそれが謎で。
あれ程むかむかしていた胸悪さも何もなく。
櫂のゴールを邪魔したという蛆が、俺の体内から出たもので…出尽くしたとか?
だけど判る。
そう簡単な事象ではない。
「お前という存在が…鍵だな」
桜が呟いた。
「血色の薔薇の痣を狩ってるのも…お前1人だ。そしてお前の偃月刀には、見えない敵を映す。意味があって…お前は"黄色い外套男"を演じていたんだろう。
お前が、過去私達が見てきた外套男のはずはない」
だったら――
一体何の為に、俺あんな格好?
そして、今。
何の為にこんな格好?