シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
"選ばれた"
櫂の記憶を消した玲。
「芹霞さんにとっては…
櫂様を失うのは耐え難いことで、だから恐らく…」
桜の声が遠くに聞こえる。
喉が渇く。
全身の血が下がって、
頭が痛くて身体がぐらりと傾いた。
早いよ…。
芹霞。
櫂を選ぶのが早すぎるよ…。
俺の記憶がない時に――
何でそんな事態になるんだよ?
何でだ?
そんな兆候あったか?
芹霞は…保健室で俺にキスしてくれたじゃねえか。
俺を意識して鼻血を出してくれたじゃねえか。
…蛆まみれになっても、深いキスしてくれたじゃねえか。
あれは…同情…?
恋情とは別のもの?
幼馴染だから?
"男"として見てなかったから?
はは。やっぱり…?