シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「お黙りッッ!!! 私を"緋蝶"様と同じにするではないわッッ!! 

緋蝶様は神だったんだ」


神…。


「今も思い出す…あれは6年前の7月20日」


偶然にもあたしの誕生日だな。


「東京全レディースが集まり大乱闘の最中、突然現われた"彼女"。

夜空に舞う赤い襦袢はまるで蝶のように軽やかに。そして鮮やかに…隻腕で軽く私達の全てを地に沈めた。3,000人を」


赤い襦袢…。

隻腕…。


「その強さは圧倒的。その赤色…緋色は美しすぎた。私達は彼女に懇願した。私達の上に立って欲しいと。しかし彼女は言った。"私はこれから妹の誕生日を祝いに戻る途中。道が遮られてたから退けたまで"」



妹…。


妹の誕生日!!?


ねえ、何だか――


その"彼女"って――


「そのクールさに痺れて全員が更に切に懇願した。

"よし、判った。では私は初代を務めよう"」


緋狭姉…。


あたしの誕生日に、何で初代やってるのよ…。


「その数秒後。たまたま先頭に居た私を手招いて、"では総長の座をお前に譲る。これより2代目総長はお前だ。初代の命令だ。皆、2代目の命令に従えよ"。そしてスタスタ行ってしまった…」


数秒間…って、おいっ!!!


「名前も名乗らず彼女は去った。彼女は"緋蝶"と呼ばれ、伝説となった。あの方は私達にとっては神だ」


呉羽サンは…何だか感動しているみたいだけれど。


それが下ネタ満載でオヤジの…あたしのお姉ちゃんだとは判っていまい。


今、緋狭姉は…。

あれ?

緋狭姉…何処でどうしてるんだっけ?


あたし暫く姿を見ていないや。

家、燃えちゃってるの…判ってるのかな。


ああ…また神になっちゃってるんだね。

その妹に…崩れたケーキを渡したとは、呉羽サンも判ってはいまい。

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