シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

玲くんはあたしを助けに来てくれたんだ。


そう感動に目をうるうるしながら玲くんを見上げたら、


「………」


玲くんは、愕(おどろ)いた顔をしてあたしの頭の天辺から足の先まで見ていて。


「………」


何の反応もない。

それ程、凄い格好なんだ。


鏡――

カメラの近くにあるから、確認しようとしただけで映っちゃう。


お化粧が似合わないんだろうか。

頭がモリモリ過ぎなんだろうか。


あぁ、何よりこのドレスが合わないんだ。


レースがふんだんに使用された…

まるで生クリームみたいなふわふわな印象。


デザインの全貌は判らないけれど…

きっと可愛い系には属するんだろう。


そんなドレスに着られてしまっている、"残念な子"。


あたしは居たたまれなくなり、自然と顔が強張って引き攣ってきた。


あたしだって好きでこの格好をしているわけじゃないけれど、


「………」


ここまで玲くんがぽかんとしていたら。


残念を通り越して絶望的だ。

やっぱり逃げよう。


何も全国で恥を晒すことはない。

やり直すチャンスを未来に賭けよう。


あたしだってまだ17歳、

きっと未来はいくらかはマシになるはずだ。


玲くんだって絶対そう思ってる。

着替えさせたことを後悔している。


ごめんね、玲くん。


しかし手元には着替える服がない。

近くに居て頼めるのは玲くんだけだ。


「玲くんお願い、あっちから他の服持ってきて?」


「………」


「何かの手違いで、こんな格好させられちゃったの」


「………」


「玲くん?」


「………」


「おおいっっ?」


端麗な顔の前で手をぶんぶんと振ってみたら、

突如玲くんはしゃがみこんだ。


あまりのあたしの凄さに、脱力か!!?

そこまで酷いのか、あたし!!?
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