シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「やばい、やばいよ玲くん。逃げようよ、玲くん」
だけど玲くんは離れない。
あたしを覆い隠そうとしてくれているんだろうか。
玲くんは意外に肩幅は広い。
「此処で結婚式のドレスを注文された、決め手は何ですかぁ!!?」
初対面のはずのアヅサは変なことを言い出した。
「けっ、結婚式って?」
「うふふふふ。勿論、も・ち・ろ・ん!!!
貴方と彼氏さんとの」
最後にハートマークでも飛びそうな、やけに甘ったるい声。
「け、けけけけけ!!?」
「式はいつですかぁ!!?」
「ししししししし!!!?」
ああ…言葉が出てこない。
「すぐ…です」
ぼそっと、まるで子供のようなたどたどしさで答えたのは玲くんで。
それでもやっぱりあたしに張り付いていて。
はあ!!?
すぐって何!!?
周りから嫉妬の視線が凄いんですけど!!?
「彼氏さん、どうですかぁ!!?
彼女さんのドレス姿」
「かんどう…です」
まだ、たどたどしい言葉のまま。
「ゆめみたいです」
そして玲くんが、あたしから少し離れて顔を上げた。
「!!!!!?」
玲くんが――
真っ赤だ。
煌に負けないユデダコだ。
何だ、どうした玲くん。
ショックすぎて熱でも出たか!!?