シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
曲に耳がいってなかったのは…
ドナドナであったあたしの精神状態が、それ処じゃなかった為だろう。
しかし。
曲をかけて、何ともないというのなら。
玲くんが閃いた…Zodiacの曲が流れれば、黄色い蝶が出現するという、"関連性"は無くなるということでは…。
「いや…逆に関連性は強まったよ。少し…加工した曲だからね。僕の勘が外れていたら…今頃テレビ中継は血の惨劇だ。それはそれで大スクープで視聴率は上がるだろうけれどね」
そして玲くんは笑う。
「よかったね、"純血"の花嫁にならなくて。まあ僕が居て、芹霞をそんな危険な目には合わせないけれど。
ははは、弱小なりともAPEXと"彼"が居てよかったよ。
おかげで色々試させて貰うことも出来たし」
玲くんは――
何か裏でやっていたらしい。
ただの…テレビ局見学ツアーに行っていたわけではなかったらしい。
全ては計算内のことなのか。
皆皆…。
あの可愛い玲くんも…。
可愛かったのに…。
やっぱりお芝居、だったのか…。
シナリオ作ったのは、玲くんだったのかな。
自作自演か。
ねえ、それなら…
「どうせ全てがお芝居なら、玲くんが女装すればよかったよね。そうしたらもっともっと凄かったのに。悔やまれるなあ…」
男でも女でもいける美人さんて両方お得だ。
「お芝居?」
慮外とでも言いたげに、玲くんは形いい眉を跳ね上げた。
「うん。やっぱり玲くんの芝居あってのものだよね」
「―――――。
――………。
僕、芝居っぽかった?」
結構な沈黙の後、玲くんが眉を顰(ひそ)めて聞いてきた。
「どこら辺が?」
「え? 入ってきた時から。あたしの姿に絶望的になった玲くんは、そこから知恵出してずっとお芝居して、うまくいく方法を探してくれてたんでしょう?
まあ…初めから店長さんと何かを打ち合わせはしていたんだろうけれど」
それくらい、見抜けないでどうする!!!
と、思ったのは最後の方だから、あまり偉そうには出来ないけれど。