シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「僕が、何で絶望するの? 何に?」


きょとんとされたけれど、玲くん優しいなあ。


「あたしの花嫁姿に。緋狭姉の実妹だからといっても限度があったねえ。だけどあたしも成長期だから、きっと数年後には幾らかは…」


「僕…KOされたじゃないか」


「ああ、それはもう絶望的に」


「そうじゃなく…あの時僕は…」


ああ、また…床にしゃがみ込んで俯いちゃった。

あたしは、中腰になって玲くんの反応を見つめている。


「あの時…」


想像以上のぶちゃいくさを思い出して、フォローのしようがなく玲くんはきっと落ち込んでしまっているのだろう。


「……とける」


ひと言呟いて、ゆっくりと顔を上げた玲くん。



――…ちゃあああん!!


「ぼく…とけちゃう」


上目遣いの鳶色の瞳は、うるうるで。


いや、目より何より…玲くん…。


「…せきにん、とってよ」


何で、またまたお顔が真っ赤っか?


拗ねたお顔が、凄く赤いんですけれど。


え?

何で?


"溶ける"


確かにこのままだったら――

"溶解人間玲くん"になりそうだ。


しかし何故だ?

どうしてこうなってしまう、玲くん!!?


「お、お熱?」


ぶんぶん。

頭を横に振られた。


仕草まで幼児化してしまった。


立てば180cm以上もある、真っ赤っかな…"溶解お子ちゃま玲くん"。


いつもの王子様姿は何処にいった!!?

聡い玲くん何処にいった!!!?
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