シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


――…ちゃあああん!!!


「せりか、だいすき」


可愛い。

可愛すぎる玲くん…。


無性に…体がむずむずする。


――…ちゃん、だあいすき!!!


思わずあたしは玲くんに抱きついた。


「あたしも、玲くんだあい好き!!!」


びくり、と玲くんの体が震えた。


さっきもそうだ。

好きだというと、玲くんは震える。


何でだ?



その顔を覗き込んでみれば――


「同じ血って…苦しいものだね…」


憂いた鳶色の瞳があって。

さっきまでの可愛い玲くんはいない。


あれ?

あれ?


声も…いつものような囁くような大人声に戻っている。

始めから…そうだったんだろうか。


あの姿は…幻だったの?

玲くんは本当に、あの姿をあたしに見せてくれていたの?


夢現の中、ゆらゆらと漂っているようなおかしな気分。


何が真実で何が幻?

何が現実で何が夢?


境界が判らなくて。


「何処までが…僕に対する情なの?」


玲くんが、何かに重なっていく。


憂いの含んだ――…色の瞳。


どくっ。


過(よ)ぎったのは――?


「――…の身代わりでもいいと…

望んだのは…僕なのに……」


あたしは今、

目の前の茶色ではなく、

何色を思い出した?


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