シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
毛穴までくっきりの高画質。
お肌の手入れなんてしていないことばればれの高画質。
テレビ局で専門的に録画された、超ど級最高級高画質。
何処まであたしに羞恥プレイを施す、玲くん。
編集用の大画面に張り付いたまま、動かない。
何を言おうと体を揺すぶろうと、
「ん……」
気のない返事で、何でそこまで見たがる、玲くん!!!
しかも。
あたしばっかり。
玲くんが映っていないんだ。
部分的に出演があっても、主役はあたしばかりだ。
あの可愛い玲くんも映っていない。
映っていないのは、あたしの幻覚だったようにすら思えてくる。
男に大人気のアズサすら映っていない。
勿体無い。
最後の愛の告白(?)だけに、麗しき玲くんは颯爽と現れて、"とろ~り"王子様スマイルの癖に、他に入り込む余地など微塵も許さないといった迫力を見せつけて、大歓声の内に録画は終わる。
そして王子様は幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
そんな文字が最後に出てきそうな録画の内容。
これだけ見ていれば――
本当に結婚するカップルにとっては、
愛が詰まった…一生ものの記念録画。
それが延々と…もう10回は再生されている。
しかも玲くんの所はとばされて。
「玲くんってば!!!」
「ん……」
あたしの所ばかり。
恥ずかしくて溜まらない。