シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「お前――」
床に崩れ落ちた遠坂が、手を挙げようとしているのが判る。
それを心待ちにしている2人がいるのも視界に入る。
二組の好戦的な目が輝いている。
きらきら、きらきら。
「女、お前の名は?」
"女"…だと?
玲などとは比較ならない…
明らかに気味悪い俺の"女装"。
どう考えても無理がありすぎるだろう。
化粧してカツラ被って、レースで縁取られた白エプロンカッチューシャ付きの…典型的マニア向けメイド服を着てるこの俺が、どうして女に見えるって?
「何故答えない、女」
遠坂のコスプレマジックか?
それとも久涅の目がおかしいのか?
それとも…油断させようとした"演技"なだけか?
遠坂が手を下げた。
遠坂は、"演技ではない"と踏んだらしい。
途端に子供2人が落胆し、
地団駄を踏んでいる。
「!!?」
視界の端で――
遠坂がかっと大きく目を見開いたまま、動きを止めている。
驚いているわけではないらしいが、鬼気迫って少し怖い。
「お前…俺の血を引くものか?」
どくっ。
酷似した顔だということには気づいているらしい。
だとしたら、やはり――
「本当の妹か?
それとも…また複製(コピー)か?」
"模倣"
何故かその言葉が蘇った。