シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
黒皇は…
何をしようとしている?
黒皇は誰だ?
"黄の楔"から逃れる術とは何だ?
判らないことが多すぎて。
もっと――
もっと資料が欲しい。
手掛かりが欲しい。
そんな時、遠坂が呟いた。
「なあ紫堂。
師匠は…何で連絡出来たんだろう?」
まず第一に――
電脳世界が1つに繋がっていると考えれば、電気を介するものがある限り、玲の力が及んでも違和感はないけれど…此処は隔離都市"約束の地(カナン)"。
それでなくとも"約束の地(カナン)"に居る遠坂が外界の玲への連絡が出来ずに苦心していた環境下、更には…その"約束の地(カナン)"にて隔離的に取り込んだデータの消失に際し、外部回線を絶ったローカル状態での玲からの連絡は、確かに妙だ。
それに玲の力の威力は、そこまで広範囲ではない。
「師匠と"見せかけて"いるのか?
だったら何で、師匠と"口で"取り決めた暗号を知っているんだ?」
"電脳世界に気をつけろ"
「どういうことだ?
警告だと…信じていいのか?」
その時――
ヘリの音がした。