シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「何だよ、今度は何処からだよ!!!?

何で…俺だけ!!!? 何で俺だけこの音聞こえるんだよッッッ!!!

桜、あっちに何あるよ、あっちッッッ!!!」


煌が向いて叫んでいるのは――


赤坂方面?



「うぎゃああああ!!! 頭が変に「うるせえ、うるせえ、うるせえ!!!」


被せるように聞こえてきた声。



「突然電気消えるわ電車は止まるわ、何だって言うんだよ。更に、この甲高い音…なんだよッッ!!!」


キーキーキーキー。

この声!!



「声が出る《妖魔》か!!? 

俺随分走ってきたのに、何で消えないんだよ!!!」



皇城翠だ。


何処だ、何処にいる!!?



この場面で動けるのは私だけ。



「「のおおおおおおお!!!」」



畜生コンビが同時に変な声を上げた。



――居た!!!!


視界の中で、蹲る小さい物体を見つけた私は駆け寄った。


間違いない。


「おい大丈「違うことを考えよう。そうだ!!!」


「なあ大丈夫「は・や・…まおおおおお!!!」


「皇城あ「負けないぞ、愛の力は勝…ぐううううう!!!」



私の声が届かない。


仕方が無い。


私は深呼吸をして――


バチーーーーン!!!


頬に平手打ち。



驚いたような藍鉄色の瞳がこちらに向くと同時、


「はぁっはぁっ…」


また始まった、発情期。


私だと認識して貰えれば、言葉など特に必要ない。


手は耳に押さえたままだから、私は足を掴んでずるずる引き摺った。


< 628 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop