シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

『"約束の地(カナン)"が危険』


氷皇が警告を出すくらいだ。

その理由は不明にしても、遅かれ早かれ…"約束の地(カナン)"は危険に巻き込まれる。


それを知るのは、氷皇以外に…僕と芹霞と、危険にさせる者達だけ。


どうする?

どうすればいい?


「玲くん、"約束の地(カナン)"行こう?」


芹霞が僕の手を引いた。


"約束の地(カナン)"は――

横須賀港から船で数時間。


この時間から行けば――

到着するのは夜中だ。


"お試し"は…今日までなんだ。


"約束の地(カナン)"に行けば、"約束の地(カナン)"が"お試し"最後の場所となる。


何も成果が出ないまま、僕は"約束の地(カナン)"の危険性の究明に明け暮れ、"時間切れ(タイムオーバー)"になってしまいそうな可能性があった。


だから、躊躇いがあった。


だから、桜達に行って貰おうと思ったのに連絡がとれない。


だけど…

至急性がないかもしれない。

危険というものの、緊急性の度合いが判らない。


氷皇の警告の予告時期が今ではなく、未来のことであるのなら。

今"約束の地(カナン)"に訪れるのは・・・切羽詰った僕には完全無駄足に思えて。


無駄な時間は費やしたくはないんだ。

そう、"約束の地(カナン)"への訪問は、"お試し"の時間が迫る僕にとっては博打のようなもので。


何より――櫂が居るならば。


――紫堂櫂を愛してる!!!


芹霞が櫂を思い出してしまえば…

今の僕は、芹霞にとって…櫂の身代わり要素が強まっていることに芹霞が気づけば…


"お試し"は失敗に終わる。


ああ…そんな恐れに僕は縛られて。

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