シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そういえば、再会した時…
――俺には切り札があるんだ。それも複数な。"あいつら"は、テレ東の上層部動かして俺を封じた気でいるだろうが、俺は収まらん。
そんなことを言ってた気がする。
「ああ。匿名で舞い込んだ一通の封書の内容を調べていた為に、"左遷"というよりはテレ東の強制解雇にあった。運良く此処に移れたから、此の立場を利用して引き続き調べていたが。あの女は多分…皇城の手の者だったんだろう」
皇城…だって?
「三沢さんは皇城を…?」
「ああ、まあ…それだけではないがな。お前さんは信用出来るから話してもいいが…長くなるから後でな。
話を戻すが…それでその女が脅しに来たから突っぱねたんだ。そしたら…突然俺に襲いかかってきた。それは…女と思えぬ凄まじい力と速度で。俺の首を絞めようとしただけではなく…」
――"お前"を貰い受ける。
「俺の頭に噛み付きやがったんだ、大口を開けて」
床に散らばる毛髪が見えるが…それは三沢さんのものらしい。
頭が…何で"三沢さん"?
「今毛髪を全て剃れば、恐らく歯形がくっきりだろうよ。俺、今まで散々危ない橋を渡ってきたけれど、此処まで恐怖を感じたことはなかったよ。食われると思って必死に逃げて、その時機械の上に置いていた万年筆を掴んだんだろうな、気づいたらそれを彼女に向けていて…なんと爆発だ」
それが爆発音か。
「普通それで死ぬだろうよ。だけどそれでも彼女は生きていたんだ。生きて…尚も俺の頭に噛み付こうとした」
「何だか、一昔前のゾンビ映画みたい」
「ああ、"オバタリアン"の原型かい? ホラー嫌いなのに見てるんだ?」
「うん。前に煌が借りてきてげらげら笑って1人見てたから、そんなに面白い映画なんだと途中から一緒に見たら…」
芹霞は顔を恐怖に引き攣らせた。
「その後、あのワンコとは冷戦。死ぬかと思った」
芹霞…。
君は何度も、リアルの…生ゾンビに相対しているのに、やっぱり作り物のゾンビの方が怖いんだね?