シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・偽装 煌Side

 煌Side
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「いい加減――


現実に帰れ、この畜生がッッッ!!!」



麻痺した鼓膜に桜の怒声が貫き――

俺の視界は確りとした輪郭を持つ。


何だか頭とか上半身の節々が痛いけれど。


やがて目に入ってきたものは――


「な、何だこれは!!!!」


白い…白い世界。



一面…蠢く蛆の世界。


巨大蚕の抜け殻。



奇怪な…悍しい世界。



そして――



「何で朱貴が!!!?」



悲痛な声音を発したキーキー声。



それはまるで基督のように…


朱貴は十字に組み合わせられた板に貼り付けられていて。



「朱貴、朱貴ッッッ!!!」



小猿はバタバタと蛆を踏み潰して朱貴の元に向かう。


踏み潰せるのか、小猿はあの蛆の海を。


ぼんやりと思った。


「なあ桜。何で小猿や朱貴に…蛆は寄りつかねんだろう?」



十字の板自体、弾かれているかのように蛆が寄りついてねえ。


というより、この蛆の発生源は何だ?


もしや――


「小猿、それは朱貴じゃなく……!!!」


罠だとしたら!!?
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