シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
反転している北斗七星の鏡。
そこに偽装(フェイク)たる朱貴が映っているというのなら。
もしや――
「小猿。それで俺達見てみろ」
鏡の意義も反転しているのでは?
俺だから出来る短絡思考。
物理的にはありえない事象だ。
だが――
「え? ………あ!!?」
俺だって"やれば出来る子"なんだって、少しばかり自画自賛。
「どうして葉山もワンコも映ってないんだ!!?」
続けて小猿は叫ぶ。
「どういうことだよ、葉山もワンコも偽物なのか!!? 幻覚か!!? 幻覚だったら…葉山やワンコが言っているのは全て偽り!!!? 俺騙されてるのか!!!? ということはあの朱貴は本物間違いないってことじゃないか!!!? 俺があの朱貴を式だとか偽物と断言出来ない理由は、俺が未熟過ぎるからではなく、本物だからじゃないか!!!」
そうきたか。
小猿は俺以上に単純思考なんだろう。
桜は失望したように、小猿に向けて呆れ返ったような溜息をついた。
小猿。
お前の恋は絶望的になったな。
「小猿……」
「何も言うな、このワンコもどき!!! 俺を惑わせる魂胆だな!!!」
「ワンコもどきって……俺はワンコじゃねえって!!!」
「煩いな黙れよ!!! 本物のワンコみたいに噛み付くな!!!」
「だから俺は本物のワンコじゃねえって!!!」
「!!!! やっぱり偽物なんだな!!!?」
小猿が警戒に満ちた声を出した。