シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「君は久遠と共に表舞台に立ち、カメラが回っている中で迂闊なことも出来やしない。いつもなら師匠なり如月なり葉山なりが、裏で動いて君のピンチを救ってくれていたけれど…ボクは、君達とは違うひ弱なオナゴだし。
蓮は手のかかる主人が"粗相"をしないか頭一杯一杯のはずだし…万が一の時は、ボクの部下をやるから」
部下?
パンパン。
遠坂が両手で叩くと、目の前に司狼と旭。
「「お呼びですか、司令官!!!」」
目が期待にきらきら、きらきら。
「ああ、違うよ。ここで遊んでいいということじゃない」
がくっ。
2つの頭は途端に項垂れた。
いつから、この2人は遠坂の部下になったんだ?
「なあ…随分とヘリの音が続くな。少し…異常に思えないか?」
確かに。
「外で何が起きているんだ?
――よし、軍曹AとB!!!」
軍曹AとB?
「そうだ、お前達だ。司狼がAで旭がBだ。軍曹に指令だ。外を見廻り、このヘリが何でこんなに集まっているのか、状況を報告せよ!!!」
「「了解(ラジャー)!!!」」
2人は走り去った。
平和な"約束の地(カナン)"というのは、暇なんだろうか。
それとも、
これも"遊び"だと思える彼らの精神年齢が低すぎるのだろうか。
実年齢は――
「紫堂。"約束の地(カナン)"の住人に、真実は無意味だ。彼らはまだまだ幼い子供だ。少々世間知らずのな」
そう割り切れるから、
きっと2人は遠坂に懐くのだろう。