シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そして数分後、今度は蓮をも伴い2人は帰ってきた。
俺を見るなり、蓮の顔が前以上に驚愕に満ち、大げさな程仰け反った。
ああ、だから…俺の女装は…
「由香の腕は感嘆に価する」
嫌悪に顔を歪ませられるかと思いきや、そうでもなく。
ただただ驚嘆の溜息が遠坂に向けられるだけ。
「ふふん」
遠坂は腰に両手をあて、鼻高々だ。
蓮は…目が悪いんだろうか。
「"ふふん"、きゃはははは~」
「じゃあ僕真似しよっと。"ふふん"」
驚く女1人に、"どや顔"のチビッコ3人。
「ふむ。これなら…久遠様とお似合いじゃないか。
どうだ紫堂櫂。芹霞を諦めて久遠様に…」
俺は両手で大きく"×"を作った。
拒否。
拒絶。
世界が滅んでも、絶対ありえない。
女装するより嫌だ。
鳥肌までたってくる。
「……ちっ、まだ諦めないか」
舌打ちした蓮。
久遠に忠実な部下は、芹霞を久遠に引き渡したいらしい。
させるか!!!
「軍曹AとB、何で蓮も一緒なんだ?」
「蓮もお外出てたの、きゃはははは~!!!」
蓮も訝っていたらしい。
「ああ。テレビ局との事前打ち合わせではヘリが入るとは聞いていなかった。久涅曰く、3つのスクリーンを運ぶのに、ヘリの数が多すぎる。中継といっても、1局であれば…1台、及び2台で済むはずだと思い、様子を見に外に出たんだ」
「あのね、あのね由香…シレイカン。機械を持った人達が一杯空から降りてきたの」
旭の言葉を、蓮が説明した。
「ヘリから…テレビカメラを持った男達が降り立った。あの分だと"約束の地(カナン)"に来訪したテレビ局関係者は、100人は下らないだろう」
「ひ、100!!?」
遠坂が飛びはね、俺を見た。
ありえない。
1番組の生中継に100人も集まるなど。