シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

『報道機関 各位 様


謹啓 FAX送信、失礼いたします。

突然ながら11月○○日19時より、

神奈川県各務区の複合施設KANANで

我が紫堂財閥の代表として紫堂久涅が

各務当主と共同で、重大発表をする

記者会見を行なう運びとなりました。
 
報道機関各位におかれましては、

この記者会見とその報道、及び今後の

KANANの推移にご注目されますよう、

ご紹介をさせて頂きます。敬白』



「師匠の署名が…最後にある…。

これ、師匠の字だ」


玲なのか、或いは…玲の筆跡を真似られただけなのか。


どちらにしろ、これか。


久涅が此処に来た理由。



親父と、それ以上の奴らが、何かを画策しているというのは本当なのか。



「蓮、この話聞いてたか!!?」


「いや、私も初めて聞いた。

久遠様もご存じないはずだ」


「重大発表って何だろう…」


「19時といえば…ナイトパレードが始まる時間。あと1時間弱だ。今日の"約束の地(カナン)"もかなりの人数が入っている。マスコミと来園者に…何の発表がなされるのか」


蓮は悲痛の声を出した。


発表だけで終わるのならそれでいい。


もしも――



その時だ。


「これは!!!?」


しかしそれはほんの一瞬だった。


膨れあがった瘴気が、

消え去ったのは。



この瘴気は――。



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