シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

え!!?

天井に誰かが居て、

拳を打ち付けているの!!!?


ガン、ガン、ガン。


音と共に、天井が凹んでいく。


このままだと…


「完全に隠しきれない"気配"を感じたから、警戒していたけれど――よりによって車体を傷つけるなんて!!!」


玲くんは憤ったように怒鳴った。


車体?

ん?


玲くんは何について怒って――



「これは車両保険に入ってないんだよ!!!

また僕、ぼったくられるじゃないか!!!」


そう言うと、玲くんは窓をあけ――


「三沢さん、運転お願いしますッッ!!!」


玲くんは、外に出した手を縁にかけ、上半身を捻るようにして窓の外に飛び出すと、そのまま腕の力だけで体を持ち上げ、するりと外の闇に溶けていった。


とてもじゃないけど、走る車で器械体操みたいな器用な真似…あたしは出来ない。


出来るようにも思えない。


煌や桜ちゃんはやってのけるかもしれないけれど。


普通人たる庶民には出来ない芸当だ。


天井で物音が激しくなる。


ただし、拳型の凹みはもうこない。


「『白き稲妻』…戦闘の予感してたから、俺に運転させて、後部座席に乗ってたのか」


さすがにあたしは、玲くんが大丈夫か心配になって…窓からひょっこり顔を出して上を見上げた。


そこには…


「芹霞、危ないから席にいて!!!」


3人を相手に…


舞うように流麗な組み手を見せる玲くんがいて。


対する敵は――



「制裁者(アリス)!!!?」



驚いて仰け反った…そのぎりぎりの処に、あの…玲くんのような青い光が放たれて。


ドアの一部が溶けた。


ひいいいいっ!!!?


あれだ、あの万年筆攻撃だ。


自警団だけではなく、制裁者(アリス)も持っているんだ。


ということは、仲間!!!?
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