シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
結局あの後――。
久遠に偉そうな鐘(ベル)の音で呼び出された俺達は、1階に居る彼らの元に到着するや否や…まるでタイミングを見計らったかのように、番組責任者だとかいう3人の男が屋敷に押しかけてきて、久遠と久涅とで中継の打ち合わせを始めてしまい…久涅に記者会見の真偽を質すことはおろか、久遠にすらその事実を告げることができなかった。
苛々しながらその成り行きを見守っていた俺達だったが、
――あ、各務さんと紫堂さん以外必要ないから、違う処でおとなしくしてて。
これ幸いと俺も引っ込もうとした処、
――ああ、この久遠の夜伽女も一緒に撮影してくれ。
にやりと久涅が笑って。
――よ、よよよ夜伽!!?
番組責任者達は口を開けたまま固まった。
同時に――
蓮が用意した紅茶に、すました顔で口をつけていた久遠は、途端ぶーっと吐き出した。
久遠らしからぬ"品のない"光景に、誰もが送った奇異なる目線。
――何。
ふんぞり返って口元を拭いながら、何も無かったかのように振る舞えるのは、ある意味"さすが"。
吹き出すほど嫌悪感覚えるならば、例え一時凌ぎでもそんな戯れ言を言わないで欲しい。
俺はまだ赤くなったままじんじん痛む手を、無意識に摩った。
――彼女…いいねえ、華になりますよ!!
戯れ言を言うのは久遠だけではなく、好色な目を向けるテレビ局の人間もそう。
――各務さんの…夜伽なら、高嶺の花か。
俺は――男だ!!!