シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「………?」
――ああ…凄いね…。
「………??」
――芹霞、僕…僕っっ!!!
「!!!!!?」
ぷしゅうううううう。
やばっ…何でまた鼻血…!!!
しかも凄い勢い。
思わず鼻に両手をあてるけれど止らない。
何これ、どうしたの、あたし!!!?
何処に玲くんのお色気要素があった!!?
思い出しかけた夢の内容なんて、即座に彼方に飛んだ。
これはきっと、思い出してはいけない夢なんだ。
そんな中、玲くんは必死に銀色氷皇との戦闘最中で。
「血!!!? 芹霞、どうしたの!!?」
玲くんが銀色氷皇の蹴りを避けながら、ちらちらとこちらを見て声を上げるけれど、まさかがつがつした玲くんを想像したからなんて、言えやしない。
その時、真隣に…撒いていたはずのパトカーその1がついて。
ハンドルが見えるだけで、運転席には誰もいなかったんだ!!!
そして窓が開き、金の万年筆がふわりふわりと…。
照準はあたしか!!?
やばいって!!!
助けを求めようにも、玲くんはそれ処じゃない。
こんな狭い処で、あの銀色氷皇を相手にしているのは大変なんだ!!!
考えろあたし!!!
切り抜けろ、此処を!!!
幸いにも敵とは超至近距離ならば。
何か…そう、何か投げつけるものがあれば…。
「ひゃああああ、嬢ちゃん誰が運転してるんだ、あれ!!!」
身を捩って叫ぶクマ男の尻から、何かがどすっと座席の間に落ちた。
小銭入れ!!?
しめた!!!
それを拾い、むんずと掴んだあたしは――
「じょ、嬢ちゃんそれは!!!
俺の500円玉財布!!!」
いやな予感でも感じたのか、悲痛な声を上げるクマに構わず、中から500円玉を取出して…節分の豆まきのように、パトカーの窓の中に叩き付けたんだ。