シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
どうだ、銭形芹霞だ!!!
庶民には庶民なりの戦い方がある!!!
節約家のあたしとしては、小銭をこんな風に無碍に投げつけることは忍びがたいけれど。
クマの小銭だし、あたしだって…皆の命がかかってる。
あたしの手についていた故…鼻血塗れとなった500円玉群は、血飛沫を立てて明らかな"何か"にぶつかっておかしな角度に反射した。
数枚こちら側に戻って来たのを反射的に手で掴んで、財布に入れてクマに返した優しいあたし。
パトカーが蛇行する。
それを擦抜けるように、ボンドカーは加速した。
クマが返された財布を見て声を上げる。
「ち、血染めの3枚だけって何だよ!!? 嬢ちゃん、500円玉だけで1万は貯めてあったんだぞ!!? どうすんだよ、俺今月給料…」
「しぇこいこと言わな…クマクマ、もっとシュピード!!!」
しつこく追いついてくるパトカー。
まだ吹き出る鼻血を抑えながら、くぐもった声を上げれど、
「メーター振り切れた!!!
これ以上は無理、無理ッッ!!!」
ハンドルからびりびりと音がしていた。
ということは、パトカーもそれくらいの速度出しているの!!?
取り締まれ、警官!!!
と思えど、敵はその警察官如きなんだ。
え? 自警団や制裁者(アリス)ではなく、
都民の味方までもが何故"不可視"に!!!?
頭の中が混乱する。
何がもうどうなっているの!!?
判らない、判らない!!!
どうしよう、どうしよう!!!?
再び向けられる金の万年筆。
今度は万年筆の向きが変わっている。
照準は――
玲くんだ!!!