シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「玲くん、万年筆が!!!」
駄目だ、戦う玲くんに聞こえてない!!!
ああ、再度忠告するより――
「行けッッ!!!
がつがつ攻撃ッッッ!!!」
咄嗟に思いついたあたしの攻撃。
"何か"がいるのなら――
目つぶしだ!!!
両手を離したあたしの鼻からは、プシューと音をたてて鼻血が弧を描くように万年筆に降り注ぎ、何も無いはずの光景に、真紅色の人型の輪郭が出来た。
それはホラー映画。
スプラッターだ!!!
「ひいいいいっっ!!!?」
驚いたのはあたしだったけれど、突然血を吹き掛けられた万年筆の主も同様だったみたいで…手のような輪郭をもつ部分から万年筆は地面に落ち、後輪で踏み付けられて壊れた音がした。
同時にパトカーは動きがぶれ、反対側のガードレールにぶつかり…後続していたジープと衝突し、さらにもう1台のパトカーを巻き込んで炎上した。
凄い、凄いぞあたし!!!
伊達にいつも鼻血出してないね!!!
決して綺麗じゃないけれど、それでも3台もやっつけたッッ!!!
あたしだってやれば出来る子なんだから!!!
「玲くん玲くん、あたしやったよ!!!」
「はっ…え!!?」
玲くんはそれ処ではなく、あたしの勇姿を見ててくれなかったらしい。
それ所がひっくり返った声で、
「芹霞、何でそんなに血を出してるんだよ!!!? 顔だって真っ青…早くそれで止血を…くそっ!!!」
銀色氷皇の拳を腕で受け止めながら、ぽいと玲くんから投げられたポケットティッシュのおかげで、何とか服に極端な血痕がつくのは免れたようだ。
やばい、頭がくらくらする。
とりあえず血を止めて、頭下にしないと…。