シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「玲くん、万年筆が!!!」


駄目だ、戦う玲くんに聞こえてない!!!


ああ、再度忠告するより――


「行けッッ!!! 

がつがつ攻撃ッッッ!!!」



咄嗟に思いついたあたしの攻撃。



"何か"がいるのなら――

目つぶしだ!!!


両手を離したあたしの鼻からは、プシューと音をたてて鼻血が弧を描くように万年筆に降り注ぎ、何も無いはずの光景に、真紅色の人型の輪郭が出来た。


それはホラー映画。

スプラッターだ!!!


「ひいいいいっっ!!!?」


驚いたのはあたしだったけれど、突然血を吹き掛けられた万年筆の主も同様だったみたいで…手のような輪郭をもつ部分から万年筆は地面に落ち、後輪で踏み付けられて壊れた音がした。

同時にパトカーは動きがぶれ、反対側のガードレールにぶつかり…後続していたジープと衝突し、さらにもう1台のパトカーを巻き込んで炎上した。


凄い、凄いぞあたし!!!

伊達にいつも鼻血出してないね!!!


決して綺麗じゃないけれど、それでも3台もやっつけたッッ!!!


あたしだってやれば出来る子なんだから!!!


「玲くん玲くん、あたしやったよ!!!」


「はっ…え!!?」


玲くんはそれ処ではなく、あたしの勇姿を見ててくれなかったらしい。


それ所がひっくり返った声で、


「芹霞、何でそんなに血を出してるんだよ!!!? 顔だって真っ青…早くそれで止血を…くそっ!!!」


銀色氷皇の拳を腕で受け止めながら、ぽいと玲くんから投げられたポケットティッシュのおかげで、何とか服に極端な血痕がつくのは免れたようだ。


やばい、頭がくらくらする。


とりあえず血を止めて、頭下にしないと…。

< 713 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop