シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
そしてはたと思い出す。
上で戦っている玲くんのこと。
もしや今の連続的な衝撃で、振り落とされては…。
やばっ。
あわてて振り向いた窓から、玲くんの長い足が見えた。
落ちかけているんじゃ…!!!?
開けたままの窓から覗こうとしたら玲くんの声が聞こえた。
「芹霞、反対側寄って!!!」
あたしは慌ててそれに従うと、落ちるようにして…玲くんが中に滑り込んできた。
はあはあと、玲くんの呼吸が乱れている。
ああ、発作…おきませんように。
「あいつはまだ…上だ。何であんなに強いんだよ!!! しかも完全に僕で遊んでいる。何だよあの余裕!!! よし!!! こうなったら…下からぶち抜くか。お金がどうの言ってる場合じゃないや。億まではとられないだろう」
そして玲くんはその両手を天井を支えるように触れて。
何と――
「はっ!!!!」
大きな穴を開けてしまったんだ。
もう何度も目にしたことのある、"外気功"という奴に違いない。
猛速度で走るボンドカーは、途端にオープンカーとなり、凄まじい冷風が吹きすさぶ。
「!!!!」
あたしは咄嗟にクマ男を見たけれど…飛ばされずに髪があるということはカツラじゃない。
ああ、それ処じゃないでしょ、あたし!!!