シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ガタガタガタ…。
かなり大きな揺れに、家財が踊る。
朱貴は動じることなく、ただ窓の外を見つめている。
その表情はいつものように冷ややかな面持ちなれど、それでもその表情はどことなく儚げに見えて、悲哀に満ちているようにも思えた。
しかしそれを観察している余裕などなかったのは…
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
唸るような轟音を奏でながら…視界の中で、突如…
「何だあれは!!!!?」
黒い塔が出現したのだ。
まるで"生えた"かのように。
私は思わずベランダに出て、手摺りを両手で握り、その光景を眺めた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…。
まるでCGのように、ありえない出現方法。
こんなことが現実に起っていいのか!!!?
驚嘆。
驚愕。
私は自分の目を疑えど…
五感が現実だと訴える。
ああ!!!
私は――
現実のような夢を見ているのでは無かろうか!!!?