シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


何かを媒介にしているのではなく、口で紡ぐと同時に発動される…言葉としてあるべき姿、"原始"の力。


そして――


「…颯多而曩野(はたじなうや)」


蹲ったままの煌と皇城翠の背に軽く触れながら…


「伴惹密惹野(はんじゃびじゃや)」



その手が赤い光に覆われた。


やがて詠唱は止まり、


「二人とも…どうですか?」


そんな普通の朱貴の声に、



「「!!!!?」」



2匹は突如上体を起こし、

同じ動きできょろきょろと辺りを見渡して。



「「音が…止った!!!?」」



そしてやはり――

同時に叫んだ。


その返答を受けた朱貴は、薄く笑った。


「人には、電磁振動とでも言うべき"周波数"というものがあります。それは人体の有機分子レベル。そして周波数が一致した時"共鳴"が起きます」


そして続けた。


「普段の君達は特に支障なく"音"を聞けど、ラジオやテレビなど…特定の周波数を信号化し電波として伝達しているものについては、その周波数にあった人間には"異常"を訴えることになりますね」


朱貴は、黒い塔を指差した。


「赤坂のTBS、六本木のTX(テレ朝)は…

落ちましたか」


テレビ局!!?


確かに黒い塔の出現位置は赤坂と六本木だけれど。


私は映像が流れ続けるテレビ画面を見た。


しかし――


『流行とびつき隊』は中継中だったのだ。


和やかなスタジオ内が放映されている。

テレビ局は無事だったのか!!?

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