シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「あ…メール」


携帯を広げてそれを確認する皇城翠。


「七瀬からか?」


ひょこりと煌が上から覗き込んだ。


「いいやこれは…。

……ん? 

……んんん!!!?」


首を傾げる翠の横で、煌も同じ方向に首を傾げた。


「小猿…


"たれらちらにうどくやしがんはまし"


何だこれ???

迷惑メールって奴か?」


「いや…違うんだ。

こいつはいつもそうなんだ。

いつもは紫茉が解いてくれたんだけれど、今はいないから…」


うーんうーんと腕を組んで唸り始めて。


「どうしました?」


「あ、朱貴…。暗号なんだよ、これ。

今回は凄く難しいんだ。

俺さっぱり。

ワンコはどうだ?」


「頭の中、火花散って撃沈…」


頭脳戦に煌を頼るのは間違っている。


「暗号なんて…何処かの胡散臭い奴思い出しちまった…。まさか!!! 周涅そっくりな青い奴じゃないだろうな!!?」


「違うよ、別の奴」

「ほっとした。って言っても、あいつの暗号解けるのは櫂や玲くらいだから、小猿には無理だろうけど…」


その言葉で思い出す。


『アイするレイクンへ』


あ。

玲様に青い手紙、渡しそびれた。

ま、今度でいいか。


「貸して下さい」


朱貴が携帯を見ること、僅か3秒。



「逆から読めば文章が出来ますね。


"しまはんがしやくどうにらちられた"」



「「おお!!!」」


馬鹿2匹が目を輝かせた。



そして一同――



「「「「……」」」」



顔を歪ませて顔を見合わせた。


脳内変換が成されている。



『紫茉はんが赤銅に拉致られた』


――と。

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