シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「翠くん、目撃場所を聞いて下さい!!!」
そんな悲痛にも思える朱貴の声で、私の意識は現実に帰った。
翠が慌てたようにメールを作っているが…
イライライラ…。
「ええと…濁点…あ、変換間違えた。消そっ…ああ!! 後半全部消しちゃった。ええと…絵文字、ここは顔文字…かな…」
情報屋に、絵文字顔文字などいらんッッ!!!
イライライラ…。
「貸せッッ!!!」
私は携帯を取り上げ、速攻文章を作った。
元来、私はメールなどというものは作らない。
玲様から指示がある場合、やりとりする程度で。
だけど少なくとも、こんな"のろま猿"のようにもたついたことはない。
「すごっ…。葉山…今度メルアドを…」
「必要ない」
言うと同時に、作成した本文を送信する。
すると数秒で返ってくる。
まるで玲様のような早業だ。
早さと正確さがウリの彼ならば、
メールくらいお手の物だろう。
『鬼雷はんと狂犬はんと
共に木場公園に来て下はれ。
その時、拉致先をお答えしましょ』
合流していることも、既に耳に入っていたのか。