シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「なあ…桜」
煌が私を見た。
「あの…時折映るメイドさ…」
再び画面を見てから、私を見た。
画面には――
サイドに編み込んだ漆黒の髪。
憂いの含んだ切れ長の目。
まさか…。
まさか…?
「どうしたんだ、ワンコ。あの美人が何だ? もしかして…ははは!!! 惚れたのか!!? そうなんだろう!!!」
間違いない。
ああ、あれは――!!!
生きてられた!!!
「誰が誰に惚れるって!!!?
――違う!!!
あれは…櫂だ!!!
櫂が生きてた…」
「煌!!!」
私は嬉々として喜ぶ煌を殴りつけた。
此処は七瀬紫茉の家であると同時に周涅の家。
以前、玲様が盗聴器を解除されたとはいえ、あれから日数が経っているんだ、また何か仕掛けられていたらどうするんだ!!!
櫂様が生きていられるとバレたら!!!
「大丈夫だ」
朱貴が口元を吊り上げて笑った。
「今、俺の結界を張り巡らせている。
周涅でも接触できない」
信じて…いいのだろうか。
協力を求める私は、朱貴を全面的に信じられていない。
そして朱貴もそうだろう。
「紅皇が愛弟子の胸を貫いた際…少しは助けてやろうと思った」
朱貴は天井を見上げていった。
まるで緋狭様を慈しむかのような表情で。
それも直ぐ、深い翳りに消される。
「だけど全ては言えない。
それが…"約束"なんだ」
誰との、どんな。
肝心な部分を抜かして。