シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「爆発? じゃ何、玲くん。あの万年筆の見えない奴らが、今後うじゃうじゃ出て来るというの? 何を爆発させたいんだろう?」
単純に爆破させたいのだとしたら、虚数などに頼らず…普通にダイナマイトなり何なりに頼ればいい。
それをしないのは…?
「爆破させたいものが、恐ろしく頑丈である、とか?」
三沢さんが言った。
「通常方法では爆破できないものが、東京にあるということか」
それは――
何だ?
「ねえ、玲くん。それとあの塔とか東京タワーは何か関係があるのかな?」
正直、判らない。
因果関係が見えてこない。
「話の途中だが…外見てみろよ。"お台場"に入ったというのに…何でこんな通夜みたいに暗く静まり返っているんだ?」
「電気が…使えなくなっちゃったのかな?」
「いや…全消ではないようだ。何だろう…先刻はそれ程でもなかったけれど、電気の…電磁波が動いている」
「どういうことだ?」
これは――
「何処かに誘導されている?」
それはきっと僕しか感じ取れていないのだろう。
僕は目を瞑り、三沢さんに言った。
「三沢さん、僕が言う方角に先に車を回してくれないか?」
「ああ、それはいいけれど…」
「ありがとう。そんなに遠くない。ないけど、この気配…」
車は緩やかに…僕の指示する方角に進む。
「おいおい、お前さん…これから行こうとしてる有明方向じゃないか。その先にあるのは、"お台場"中心街だぞ?」
手前側の有明を通り越し、
「此処だ」
特定したその部分。
僕が目を開くと同時に、車は停まった。