シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
櫂様の敵となり、玲様を罵り。
その為だけに現れた馬鹿蜜柑。
あの馬鹿力に私の身体は悲鳴を上げ、玲様は発作に倒れた。
そして櫂様は…
予定通りだとはいえ、それでもゴール目前に…足止めを喰らって緋狭様に貫かれた。
私達は…それを眺めているしか出来なかった。
私は、無力ぶりを発揮するしかなかった。
我が身を盾にしても、櫂様の"切り札"を決行させたくなかったのに。
見ていることしかできなかった、この無念さ。
――紫堂櫂を愛している!!!
これは――
煌の天罰だ。
あの男がしっかりしていないから、あの男自身の弱さが招いた災厄だ。
自業自得。
それでも。
そんな男でも…
私達は確実にダメージを受けたのだ。
櫂様と玲様を救うため、四肢の骨を折られても声を上げなかったあの"男気"を裏切られたから。
だけど私だって、裏切られたままにしておくつもりはない。
あの男の最期は、私が(嫌々ながら渋々ながら)看取ることになっている。
私のいない処でくたばらせてたまるか。
説教だ。
言い訳なんて許さない。
懇願も謝罪も絶対許さない。
受けたものは倍以上で返してやる。
あんな男でも、櫂様と玲様は頼りにしているのなら、私が何が何でも連れ帰るのが道理。
本当に手間だけかけさせられる面倒すぎる男だけれど、そうした損な役回りは…多分、私しか出来ない。