シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
このヘリが青い色であるならば。
何処までも青い色に染まっていてもおかしくないけれど。
――あはははは~。
もう何が用意されていてもおかしくはないけれど。
ねえ…芹霞。
得意満面な笑みの処悪いけど、
"にとろ"
そんなひらがなで書かれて、
更には…
"にとろ(その1)"
"にとろ(その2)"
何て書かれた薬。
凄く怪しげだとは思わないのかい?
一応僕…――
薬は大体判るつもりだ。
医者の肩書きもあるからね。
シートの模様や型番で判るんだ。
「芹霞……」
僕は芹霞に微笑んで、
「僕は薬より…君がいい」
僕はそっと芹霞を抱きしめた。
暖かい温もり。
柔らかな肢体。
芹霞の匂いを感じてくらくらした。
五感全てで、"生"の芹霞を感じれる喜びに、その幸せに…涙が流れそうになる。
ああ、愛しくて溜まらない…
この想いを全て伝えられたら。
心臓が苦しいのは想いだけが起因ではない。
乱れた鼓動が、錐のように僕の心臓を貫いている。
だけどね…
落ち着くんだ。
君が居れば…
僕は頑張れる気がするんだ。
決して死ぬものかって思えるんだ。
ふふふ、だけどもう発作の限界かな?
僕は芹霞に倒れるように、凭れ込んでしまう。
芹霞はその異常に気づいて、
「玲くん…く、薬飲もう!!?
どっちにする!!!?
"その1"にする!!?」
"にとろ(その1)"を差し出したから。
……僕は言った。
「僕…お腹下ってないし」
声が…心臓の限界を告げるように震える。
「はへ?」
おかしな声が返ってきた。