シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「それ…下痢止め。しかも超強力で…必要以上に飲めば…便秘に苦しむ」
「……え?
下痢って…ピーゴロゴロ?」
「少なくとも…心臓には関係ない、その擬音語が…使われるね」
心臓が…苦しい。
「下痢止めだと!!!!?」
――あはははは~。
「じゃあ"その2"なら…」
「それは…その反対…の下剤。これも超強力。必要以上に飲めば…トイレから出られない」
「ピーゴロゴロ薬だと!!!?」
芹霞が吼えた。
「僕に効くような…強いニトロなんてきっと入ってないよ。もし…あるとすれば…裏に"使っちゃや~よ"くらい…」
薄れる意識。
苦しいながらの冗談のつもりだったんだけれど。
「あった!!!
青い小瓶だけど…
"使っちゃや~よ"!!!」
ある…のかよ。
「これでいい? ああ玲くん…
顔が悪すぎる!!!」
"顔が悪い"
ごめん。
突っ込む気力もないや…。
「見える、玲くん?
玲くんに確認して貰わないと…
変な薬だったら…!!!」
薄れる意識の中、確認した錠剤。
見慣れたそれは…
「多分、OKだろう…」
緋狭さんから貰ってる奴。
青い小瓶には、油性マジックで
"使っちゃや~よ"。
胡散臭い瓶に、本物を入れてたのかよ。
――あはははは~。
考えるな。
心臓に負担がかかる。
「玲くん、お水は…」
「水はいらない…薬…だ」
ニトロは口内で溶かして飲む…舌下錠。
口移しで…なんてもう冗談のような本音のようなものもいう余裕がなくなった僕は、それを素直に口に放り込む。
「ちょっと…此処で休ませて?」
そして僕は――
……意識を沈めた。
愛しい女性の膝枕で。
芹霞が今、何を考えているのかも知らずに…。