シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「君のおかげで、発作を悪化させずに目覚められたら、真上で君も眠っていたようだったから…。腕枕の方が良かった?」
さらりと玲くんは言いのけた。
腕枕と言うことは…
あたしは目覚めた時の体勢を考えて、くらりとする。
玲くんは何でもないことかもしれないけれど、あたしには刺激が強すぎる。
「ん?」
判っているのかな。
天然さんなのかなあ。
玲くんを完全に把握することは難しい。
だけど…
あたし最低だ。
病人目の前に居眠りして、病人に膝枕をさせてしまうとは…。
がっくり…。
「ふふふ、いいじゃないか。たまにはこういうのも。君の可愛い寝顔を眺めさせて貰ったよ?」
玲くんは起き上がったあたしの身体を、片手だけでまた膝に戻すと、真上の位置からにっこりと微笑んだ。
「少し…こうしていようか」
ああ、ふわりと…玲くんの周りで咲き誇る薔薇の華。
しかし…
漂う色気も…半端じゃありませんね。
あたしが寝ていた時、何かあったんでしょうかね?
玲くんが凄くご機嫌だ。
笑顔が眩しすぎる。
「こういうのって…カレカノみたいで、いいね」
経験値のないあたしは判らないけれど…経験値のある玲くんは、元彼女さんにこういうことをしていたんだろうか。
甘く甘く、愛の言葉なんて囁いたりして…。
ちくっ。
胸が、針で刺されたような痛みを覚えた。
何だろう?
あたしは僅かに顔を歪めさせた。