シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

やばい、やばい。


溶ける。

溶けて無くなってしまう。


さらりと受け流すことが出来ない。

胸がきゅうっと締め付けられて、玲くんから目をそらせられない。


――あいつの命がけの恋が判るか!!!?


玲くんの顔に残る細かい擦り傷が、端麗な顔には似つかわしくない"男"の勲章が……あたしに玲くんの"愛の形"を刻み込む。


何これ、何これ。


泣きたくなる程、玲くんからの愛を感じた。



――玲くんを幸せにしてみせる!!



それは嘘じゃない。

だからあたしも玲くんを愛そうと思った。


玲くんが望む幸せを上げたかった。


"お試し"で玲くんを意識し始めた。

結婚して欲しくなくて仕方が無かった。


その認識は、凱に襲われた件より早く。


そしてこの鼓動。


間違いなく――

玲くんへの能動的な気持ちが動き始めている。


玲くんと始めたとしても、

多分近い内――

玲くんの結婚をもって、恋愛関係は破綻するだろう。

きっとあたしは哀しくて泣くだろう。


それでもいいと思った。


永遠ではなく、運命でなくとも。


今、あたしは玲くんに惹かれているのなら。

今のことだけを見つめていたい。


だから、早く玲くんとの関係を、

"お試し"から昇格したいと思った。

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