シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

僕は――

手にした剣を、群れとなって僕達を襲おうとしていた蝶に向けて振るった。


微かに――

手応えがあり…


僕は何かの細い音を聞いた気がした。


それはまるで、虚数を感じる僕の"共鳴"のように。



「玲くん…蝶が、逃げていく!!!」



この剣であれば、物理的な道具でも蝶を祓えるのか。


この剣は、何かの護光に守られている。


理由はそれだけではあるまい。



櫂だ…。


櫂がまた、僕を助けてくれたんだ!!


「玲くん、危ないッッッ!!!」



鉄材の先端が迫っていて。


それは高低…広い範囲で僕達を待ち構えていた。


今からではどう方向転換しても、どれかの先端に串刺しになる。


だけど――

僕は諦めない。


この剣はきっと櫂から託されたもの。


櫂だから…


櫂だからこそ――


――俺を信じろ。


僕を見捨てはしないから。



櫂の心を僕は無碍にはしない!!!


剣を強く握った。
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