シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ああ――
僕には、芹霞にとって強みがないんだ。
僕だからという、芹霞の中での優位性がない。
絶対性がない。
それに改めて気づかせられた。
どうすれば…。
「聞いているか、おい…」
どうすれば、僕のものになるんだろう。
どうすれば、僕のものだと回りに認めさせることが出来るのだろう。
仮に芹霞が手に入ったとしても、僕は紫堂当主に認めさせられるのだろうか。
愛人ではないと、真剣な僕の想いを受け入れてくれたのだと、…認識させられるのだろうか。
――紫堂櫂を愛してる!!!
ガラン。
僕の手の中の剣が地面に落ちた。
「おい!!!?」
頬に伝うのは…何なのか。
寒い。
無性に…寒い。
「しっかりしろ!!!」
苦しいよ…。
心が苦しいよ…。
此処は"約束の地(カナン)"。
櫂や久遠が居る土地。
その現実を再認識した僕の心は、壊れそうなくらいに震えた。
冷たく、
苦しく、
ただ独占欲と切迫感だけを膨らませて。
「おい…おい!!!?」
芹霞…。
芹霞…。
お願いだから。
――玲くん、好きだよ?
僕から――
離れて行かないで。