シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

久遠は、やらねばならぬことがある。


腐っても此の地の領主(オーナー)。

此の地を守ろうという気持ちがある限り、ここで戦う安穏とした時間はないはずで。


何より俺は、芹霞と玲のことが気になっていたから。

気にしているのは、久遠も同じ筈だから。



「玲が…胸を押…さえ…ていた…」



俺は――

此処から動いてはいけない。



動けば多分――



「は!!?」


「行け!!! 芹霞を守れ!!!」


更なる災厄が訪れるだろう。


…黄色い外套男は警告している。

その…存在をもって。


何でこの姿だ?

何で此処に居る?


疑問ばかりは湧くけれど。


此の地は…

他にも危険が満ちているんだ!!!




「久遠、芹…霞と玲…を!!!」



俺は外套男を目で牽制しながら、

出る限りの声で怒鳴った。



「頼む!!!」


俺の代わりに。


…癪、だけれど。




< 936 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop