シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
久遠は、やらねばならぬことがある。
腐っても此の地の領主(オーナー)。
此の地を守ろうという気持ちがある限り、ここで戦う安穏とした時間はないはずで。
何より俺は、芹霞と玲のことが気になっていたから。
気にしているのは、久遠も同じ筈だから。
「玲が…胸を押…さえ…ていた…」
俺は――
此処から動いてはいけない。
動けば多分――
「は!!?」
「行け!!! 芹霞を守れ!!!」
更なる災厄が訪れるだろう。
…黄色い外套男は警告している。
その…存在をもって。
何でこの姿だ?
何で此処に居る?
疑問ばかりは湧くけれど。
此の地は…
他にも危険が満ちているんだ!!!
「久遠、芹…霞と玲…を!!!」
俺は外套男を目で牽制しながら、
出る限りの声で怒鳴った。
「頼む!!!」
俺の代わりに。
…癪、だけれど。