シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「…榊、だろ?

どうした…んだ?」


しかし黄色い男は微動だにしない。

ただ俺を見ているだけ。


どういうことだ?

榊ではないのか?


このまま埓があかない時間を、ただひたすら待っていられる時間はない。


俺は…

少しでも早く会いたいんだ。


芹霞に。

玲に。


だから俺は――

互いの警戒距離に踏み込むと同時に、


「顔を見せろ」


仮面に手をかけた。


そう来るとは思わなかったのか。

向こうが間合いを見誤っていたのか。


不安定な角度で反り返った黄色い男が、抗するよりも早く…俺は仮面を力一杯引き剥がした。


しかし…

仮面が動いたのは僅かだけで。


何で…取れない?

取れない仮面なんてあるのか?



俺が更に手に力を入れようとした時、



『やぁめろ…ぉ…』



思わず身震いしてしまうような…悍(おぞま)しい声が、聞こえてきたんだ。
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