シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



由香?

遠坂のことか?


『いう…な…ゆ…か』


無表情の仮面。


俺はそれが…

泣いているように見えたんだ。


『つみは…せお…う…』


どんな罪を指しているのかは判らないけれど。

どうしてこうなっているのか判らないけれど。



『ゆ……か…には…』



遠坂に知られたくない為に。


だから久遠を遠ざけ、

俺にも…接することを惑っていたのか。


遠坂榊がこんな姿になったのだと、

遠坂を哀しませたくないために。



「判っ…た。言わ…ない」



『ゆ……か…は…いま…』



榊は俺を見ている。


「……元気…だ。遠坂は…元気で頑…張っ…ている!!!」


すると榊は――

軽く頷いて。


『ゆか…たの…む』


それは榊の声にならない声。

他人に託すことに対して、悔しさを滲ませたような…そんな声に聞こえた。


俺の耳と言うより心が。


――約束、して欲しいんだ。


俺に共鳴したから。


だから俺は――


「判っ…た…。安心…しろ…」


俺の言葉に、榊は――

笑った気がしたんだ。

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