シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
ココロって、胸の奥にあるもののこと?
――じゃあ、あたしのココロを上げれば、見せてくれる?
あたしの頭は魔法で一杯で。
だって素敵でしょう?
何でも願い事が叶うんだよ?
――せりかちゃん…ココロをくれるの?
どうやって上げればいいのか判らないけれど。
それは簡単な気がして。
――本当に!!!?
イチルちゃんは泣きそうな顔で喜んで。
――私を選んでくれるの!!?
選ぶって何のことだろう。
――私にココロをくれるんでしょう?
何言っているのか意味は判らなかったけれど、
――ココロを上げれば、魔法で願いを叶えてくれる?
――勿論!!!
その時、**があたしの服を掴んだ。
――行かないで…。
何でそんなことを言うんだろう。
凄く凄く不安な顔。
――ねえ、****。私****のこと好きだけど…
イチルちゃんは**の耳に何かを囁いた。
――駄目!!!
突然**は大きな声を出して、泣き出してしまった。
――ごめんね、****。
何でだろう。
イチルちゃんが謝っているのに、イチルちゃんが**を虐めているように見えちゃうよ。
あたしは**を庇うように抱きしめると、**は柔らかな温かい体であたしに縋り付いてくる。
ああ、大好きなお日様の匂いだ。
――ねえせりかちゃん。
イチルちゃんは笑った。
――今度の満月の日、魔法を見せて上げる。特別に****にも見せて上げる。
凄いね、**。
イチルちゃん見せてくれるって。
だけど**は浮かない顔をしていた。
そしてイチルちゃんは、今日もあたし達が捕まえてきたワンワンを引き摺って、帰っていった。
楽しみだな。
満月の日、魔法をかけて貰える。
願い事なんて、最初から決まってる。
**が幸せになること。
**を不幸にさせる全てのものが、
消えて無くなるように。
**とずっと一緒にいられるように。