シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・犠牲 煌Side

 煌Side
****************



目の前で繰り広げられる狂宴。


過去何度か、金持ちが享楽に耽る現場に乗り込んだことはあったけれど、ここまでの凄まじい痴態を晒す乱交を見たことがねえ。


乱交というより一方的。

集団強姦だ。


男として、素面であんな姿晒すのは恥辱的。


俺だったら嫌だ。

立ち直れねえ。


もし万が一、逃れられないどうしようもねえことであろうと、少なくともそんな姿誰にも見せたくねえし、表情を崩し抵抗はするだろう。


だけど朱貴は――。


俺達を圧倒する力を持つ強い奴の癖に、俺達を見下したような態度をとれる奴の癖に…仮面を被った見ず知らずの男女から代わる代わる精を放たれ、ただ一方的に犯られている。


人として、男として。

玩具以下に扱われるなど、

こんな屈辱的なことを許せるだろうか。


それでも聖は言う。

これは驚くことではないと。

これは七瀬を助ける為には必要なのだと。

元より朱貴は、それが判っていて出向いたと。


それが愛の示し方だと。


朱貴は、快楽に身を投じることもなく、狂ったように抵抗するでもなく、諦観の顔でも屈辱の顔をするでもなく…ただ前以上に妙に誇り高い顔をしたまま、七瀬の名を口で唱えて微笑む。
< 971 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop