シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
言葉だけの…威圧感。
俺とは、次元が違う。
周涅もまた…五皇並の力を持つ人間、そう思わせるだけの迫力が十分だ。
「魔方陣を壊したツケは――
払って貰うぞ…!!!!」
そして直後。
周涅から放たれた殺気に、その覇気に。
かろうじて意識を保てたのは、俺と桜と朱貴…そして小々猿犬数匹。
皆、泡を吹いて気絶している。
あの女でさえも…。
俺達がこうなるのも…時間の問題だ。
揶揄して俺達で"遊んで"いたばかりのあの周涅でさえ、途方もなく強かったんだ。
それを消して、ただ憎悪めいた戦意のみ漲らせる姿を前にして、無事でいられる保証はまるでないし、まず無傷は絶対無理だろう。
周涅に対抗出来る朱貴は力を失い、自力で逃げられる状態ではない。
七瀬にしろ朱貴にしろ、逃げるには…介助の手が必要なんだ。
ならば…。
「桜…」
俺は…偃月刀を握りしめた。
「お前…
七瀬と朱貴を連れて、逃げろ」
それしか方法はない。
「俺が…時間稼ぎをする」
俺は約束したんだ。
七瀬を助けると。
朱貴と、小猿と。
だから俺は。
例え無謀でも俺は!!!
「桜、行けッッッ!!!」
そして俺は、偃月刀を周涅に突きつけた。
少しでも長く――
俺の身体で時間稼ぎをしてやる。