俺様専務とあたしの関係
「やだ!やめて…!」
もがけばもがくほど、章人はあたしの唇を塞ぎ、手は体の上を這う様に動く。
もう、やめて。
誰かを想いながら、あたしを抱かないでよ。
壁を作っているのはそっちじゃない。
だけどそれ以上、言葉が出ないあたしは、代わりに甘い声が漏れる。
本当に嫌なのに、体はどこまでも感じて、止めようもなく声が漏れ続けた。
気付きたくない…。
認めたくない…。
だけど、章人にキスをして抱かれて、すべてがあたしの体に入ってきた時…。
心底分かってしまった。
恋をしているって…。
なんて単純なあたし。
体が繋がる事で好きだと感じるのは、ただの錯覚だと思っていた。
周りの“体から始まった恋”の話を聞くたびに、いつも見下してバカにしていたのに…。
あたしがそれに落ちてしまった。
本当は迷惑なくせに。
本気で好きになられたら迷惑でしょ?
それなのに、
「気持ちいい?美月…」
章人はそんな事を聞いてくる。
それは、その言葉の意味は…、
「美月に気持ち良くなって欲しい…」
ほら、やっぱりその意味だった。
あたしの為に抱いてくれているって、錯覚しちゃうじゃない。
章人の本当の気持ちは、“美月”のところに“蒼衣”が入るんでしょ?
それは分かっているのに、どこかで嬉しい。
そうやって聞いてくれる事が、やっぱり嬉しい…。
「うん…。気持ちいいよ章人…」
そして目を閉じると、あたしたちは完全に理性を失った。