俺様専務とあたしの関係
「納得って…。専務はあたしをどうしたいんですか?」
爽やかな夜風とは対照的に、あたしたちの空気は重くなるばかり。
「言ったろ?オレは美月をもっと知りたいんだ。だから、簡単に繋がりを断ちたくない」
「体の繋がりをですか…?」
挑発的な言い方に、章人は目を泳がせ動揺している。
ごめんね。
本当は、こんな事を言いたくない。
だけど、自分の中で未練を残したくなかった。
たがらわざと、憎まれる様な言い方をしたのだった。
「専務、本当は忘れられない人がいるんですよね?」
その言葉に、章人が過敏に反応したのが分かる。
「知ってるのか…?」
「はい。結婚式の招待状をお願いされた時、和久社長から聞きました」
「あいつ…」
小さく舌打ちをしている。
たぶん、“余計な事を言って”と思っているのだろう。
あたしに知られちゃ、マズかったのかな…。
そりゃそうよね。
でないと、あたしに本気じゃない事がバレるんだから。
「そういう人がいるのに、あたしを抱かないでください」
すると、章人はため息をついて、ゆっくりと言ったのだった。
「蒼衣…。オレが今まで生きてきた中で、心底好きになった女だ」